この章の内容は次のとおりです。
Demand Managementでは、出荷または記帳、あるいはその両方に基づいて統計的予測を生成します。その予測を利用し、原因ファクタを用いて需要の変動を把握します。需要プランを実行すると、プランに適用した予測プロファイルに基づいて予測が生成されます。予測は、品目と組織の組合せ各々に対し個別に自動で生成されます。分析および分析手法の選択は、組合せによって異なる場合があります。「需要管理」作業領域の「予測プロファイルの管理」タスクを使用して、統計的需要予測プロファイルを作成することもできれば、事前定義済の予測プロファイルから1つを選んでコピーすることもできます。
原因ファクタを使用して、需要履歴の変動を把握し、正確で適応性のある予測を行います。原因ファクタは、需要を推進する力であって、需要変動の原因となるものです。予測に対する各外部ファクタの影響度や寄与度に関して、より多くのインサイトを得ることができます。
分解グループは、原因ファクタの集合であり、これを利用して予測合計を各々異なる原因ファクタ・グループに分解できます。各分解グループには1つ以上のメジャーが含まれます。そのメジャーが、需要予測プロセスで原因ファクタとして使用されます。予測結果は、様々な分解グループに分割されます。各分解グループが履歴でどのように分析されるかを確認するとともに、分解グループが予測にどう影響するかを理解することができます。
予測プロファイルの中には、事前定義済の分解グループが含まれています。ビジネス・ニーズに応じて、予測プロファイルを編集しカスタマイズすることができます。
また、予測プロファイルで使用されている原因ファクタを修正することも可能です。これにより、需要予測で行われる需要履歴の分析に対し、ビジネスに応じた様々なインプットを盛り込むことで、高度な制御を行えるようになります。
予測プロファイルは、需要予測生成プロセスで使用される定義を集めたものです。各プロファイルには、予測方法の定義、および需要データを集計するレベルの定義が含まれています。さらに、プロファイルには、需要の変動を説明するために使用される原因ファクタと、分解を目的とした原因ファクタの割当て先グループも含まれています。予測プロファイルを構成するには、「予測プロファイルの管理」タスクを使用します。
事前定義済の予測プロファイルには、次の2つがあります。
予測記帳
予測出荷
この2つのプロファイルに含まれる定義は編集できませんが、この2つのプロファイルを予測プロファイル作成時のベースとして使用することができます。統計的需要予測プロファイルを作成することも、事前定義済予測プロファイルを1つ選んでコピーを作成することも可能です。最善の方法としては、既存のプロファイルからコピーを作成し、目的に応じて修正することをお薦めします。
既存の予測プロファイルを表示するには、「需要管理」または「需要および供給プランニング」作業領域へ移動し、パネル・ドロワーで「予測プロファイルの管理」タスクをクリックします。
予測プロファイルの作成は、次の手順に従います。
ナビゲータで「需要管理」または「需要および供給プランニング」作業領域をクリックします。
「タスク」パネルで「予測プロファイルの管理」をクリックします。
「処理」メニューで「作成」をクリックして、新規の予測プロファイルに対し次の項目を定義します。
プロファイル名: プロファイルに対し一意に決まる名前を付けます。
オプションとして、自分もしくは他のプランナがプロファイルを需要プランで選択する際のわかりやすさを考えて、説明を入力することも可能です。
予測表: 予測で使用されるデータ集計レベルを定義します。
入力メジャー: 予測で需要履歴のベースとして用いるメジャーを選択します。
出力メジャー: プラン実行時に予測が書き込まれるメジャーを指定します。
メジャー・カタログ: このドロップダウン・リストには利用可能なすべてのメジャー・カタログが表示されます。この予測プロファイルが使用されるプランに、関係付けられることが予想されるメジャー・カタログをすべて選択します。
「予測方法」タブを使用して、予測方法とそれに関連する値を設定します。
「分解グループ」タブを使用して、その詳細を構成します。
「予測パラメータ」タブを使用して、各パラメータの値を設定します。
「保存してクローズ」をクリックします。
Oracle Demand Management Cloudには、15の予測方法があります。予測プロファイルを構成する際は、そのうち1つを使用することも、複数を組み合わせて使用することも可能です。「予測プロファイルの管理」ページにある予測プロファイルを使用して、予測方法を制御できます。
予測の組合せをレビューする際に、予測プロファイルを最後に実行したときに用いられた方法が、予測方法のメジャーに表示されます。
次の表に、15の予測方法と、それぞれに対応する文字を示します。
予測方法 | 対応する文字 |
---|---|
自動回帰外部入力 |
X |
自動回帰統合入力 |
V |
自動回帰ロジスティック |
A |
原因Winters |
B |
結合変換 |
E |
断続的実行用のCroston |
F |
双対群乗法 |
D |
Holt |
H |
ロジスティック |
G |
変更済リッジ回帰 |
M |
乗法モンテカルロ断続 |
K |
乗法モンテカルロ回帰 |
C |
回帰 |
R |
断続的実行用の回帰 |
J |
変換回帰 |
L |
プロファイルで予測方法を使用すると、予測方法に対応する文字が、予測の出力の中に書き込まれます。たとえば、予測プロファイルとして「予測出荷」を使用すると、予測方法の文字が「出荷予測方法」メジャーに書き込まれます。
分解グループは、原因ファクタとして使用するメジャーのコンテナです。原因ファクタの使用によって、複数の予測方法を用いて需要履歴の変動を理解し、正確で適応性のある予測を生成することが可能になります。分解グループの使用によって、予測に対して同じような影響と効果を与えるメジャーをまとめることができます。また、予測分解実行プラン・オプションを選択した場合、こうした定義は、予測の原因ファクタへの分解にも使用されます。
予測プロファイルに対して、分解グループの追加、編集および削除を行うことができます。また、各グループのチェック・ボックスを使用して、グループをアクティブ化したり非アクティブ化したりすることも可能です。グループを選択すると、そのグループに関係付けられたすべての原因ファクタが有効になります。
分解グループを作成するには、次のようにします。
目的とする予測プロファイルの「分解グループ」タブで、「処理」を、続いて「新規」をクリックします
「分解グループの作成」ダイアログ・ボックスで次のようにします。
名前と摘要を入力します。
必要なメジャーを、「使用可能なメジャー」リストから、「選択したメジャー」リストに移動します。
「OK」をクリックします。
分解グループの原因ファクタを構成するには、次のようにします。
目的とする予測プロファイルの「分解グループ」タブで、分解グループを展開します。
使用可能な原因ファクタの詳細が展開されたリストに表示されます。
次のチェック・ボックスを選択できます。
短期: 限られたセットの原因ファクタが使用される方法では、これを選択します。そうした方法には、回帰および原因Wintersがあります。
長期: 広範なセットの原因ファクタが使用される方法では、これを選択します。そうした方法には、モンテカルロ回帰があります。
乗法: 「双対群乗法」予測方法では、これを選択します。
非シーズン性: 季節性および反復性のパターンを自動的に検出する自動回帰モデルで使用する原因ファクタを割り当てます。
欠落値の入力: 0の原因ファクタを他の値で置き換えるかどうかを設定します。常に値が割り当てられる原因ファクタでは、この設定を有効にします。たとえば、価格などが該当します。
欠落値の処理、外れ値の検出、回帰と予測の検証、疎なデータに対する予測のような、需要予測におけるいくつかの側面を、予測パラメータで制御します。
実際のデータに対する分析と予測結果に基づいて、設定をデフォルト値から改善していくことができます。
次の表に、よく使用される予測パラメータの一覧を示します。
パラメータ | 説明 |
---|---|
FillMissingMethod |
定義されていない履歴値をどのように補間するかを指定します。パラメータ値として0、1、2を指定できます。0 欠落値がないフィールドの場合。1 近傍の欠落していない値に基づく線形補間の場合。2 欠落値を除外する場合。 |
GlobalAllocationPeriods |
平均需要計算に使用する日数を指定します。 |
EnableNaiveForecast |
ナイーブ・モデリングを使用するかどうかを指定し、使用する場合はそのタイプを指定します。指定できるパラメータ値は、0または正の整数です。ナイーブ・モデリングを無効にする場合は、0を指定します。Oracle独自のナイーブ・モデリングを使用する場合は、1を指定します。単純な移動平均を使用する場合は、2以上の値を指定します。このとき指定する数で、使用される履歴期間の数が決まります。 |
IntermitCriterion |
断続型の予測方法を使用した時系列の評価で使用される、需要履歴に占めるゼロ値の最小比率をパーセントで指定します。 |
WriteFit |
履歴に基づく予測(つまり回帰)について、予測プロセスで保持される数量を指定します。指定できるパラメータ値は、0または正の整数です。将来の予測のみを保持する場合は、0を指定します。最後から数えて特定の履歴期間数で予測を保持する場合は、その期間数を正の整数で指定します。期間の定義は、予測カレンダの定義に応じて決まり、日の場合も、週の場合も、月の場合もあります。 |
DetectOutlier |
エンジンに対し、時系列で外れ値の検出と平滑化を試行するかどうかを指定します。 |
OutlierSensitivity |
外れ値を検出する際の敏感度を指定します。指定する値が大きいほど、検出の敏感度が下がります。通常の検出では、2未満の値を指定します。 |
RemoveExtremeOutlier |
外れ値に対する積極的な平滑化を行うかどうかを、エンジンに対して指定します。極端な値を除外すべき明確な理由がある場合にのみ、この機能を有効化します。 |
EnableFitValidation |
回帰に対して統計的な検証を行うかどうかを指定します。検証を有効にするには、「はい」を指定します。検証を無効にするには、「なし」を指定します。 |
EnableForecastValidation |
予測に対して統計的な検証を行うかどうかを指定します。検証を有効にするには、「はい」を指定します。検証を無効にするには、「なし」を指定します。 |
FitValidationSensitivity |
回帰に対する検証の敏感度を制御します。MAPEを使用した予測方法で、指定した値より大きいものは無効です。指定した値が小さいほど、検証は厳しく行われます。それほど厳しくない検証を行う場合は、1から2の間の値を指定します。厳しい検証を行う場合は、0.3から0.5の間の値を指定します。 |
ForecastValidationSensitivity |
予測に対する検証の敏感度を指定します。指定した値が小さいほど、検証は厳しく行われます。それほど厳しくない検証を予測に対して行う場合は、5から10の間の値を指定します。 |
予測パラメータはこの他にもあります。「処理」メニューを選択してから項目の追加を選択することで、そうしたパラメータを追加できます。このとき、使用可能な予測パラメータがすべて表示されます。追加したいパラメータを選択し、「追加」ボタンをクリックして、そのパラメータを予測プロファイルに追加します。